騙されない為の統計リテラシー ~因果関係の向きについて~

皆さんこんにちは!

 

今回は、騙されない為の統計リテラシーとして、

因果関係の向き

について書きます。

 

前回の記事で、

比較を行った際にはP値を確認しましょう

と書きましたが、

 

こうした解析が出来るようになってから注意したいのが、

目次

因果関係の向きです。

 

どうゆうことか、

例えば、

「変形性膝関節症(いわゆるO脚)の人は、そうでない人に比べて、膝の筋肉の筋力が弱かった」

という結果が、P値<0.05で出たとします。

 

このような結果が出ると、

「膝の筋力が弱い人は、変形性膝関節症になりやすいんだ」

という考えに至ってしますことがありますが、

これは、まだわかりません。

 

なぜなら、今回の結果で分かったのはあくまで

変形性膝関節症の人の膝の筋力は弱い(変形性膝関節症→膝の筋力が弱い)

であって、

膝の筋力が弱い人は変形性膝関節症になりやすい(膝の筋力が弱い→変形性膝関節症になりやすい)

は検討されてないからです。

 

もし、膝の筋力弱い→変形性膝関節症になりやすい

を検討したい場合

膝の筋力が弱い人は、強い人と比べて、変形性膝関節症の人が多かった

という結論が出るような比較をしなければなりません。

(この場合、「膝の筋力が強いor弱いはどうやって分けるの?」が難しいですが・・)

 

 

このように、得られた結果から因果関係を考える時には、

向きを考慮しなければなりません。

 

西内啓さん著 「統計学は最強の学問である」に書かれている例で、

 

「たとえば親に対するアンケート調査の結果、子どもが暴力的なテレビゲームで遊んでいたかどうか、

という質問項目と、子どもの犯罪・補導歴の有無の関連性を分析し、

少年犯罪者のほうが暴力的なテレビゲームを遊んでいる割合が高かった、という結果が得られたとしても、

暴力的なテレビゲームを規制して犯罪率が下げられるかどうかはよくわからないのだ。」

「統計学が最強の学問である」P94より引用 太字はブログ主が編集

 

というのがあります。

 

この場合、

少年犯罪者→暴力的なゲームで遊んでいる

はわかっても

暴力的なゲームで遊んでいる→少年犯罪者になる、

暴力的なゲームを規制→犯罪数が減るとは限らないという事ですね。

 

理由としては

「なぜならゲームなどからは何の影響も受けないもともとの「暴力性」とでもいった原因があり

この「暴力性」が高い子どもほど暴力的なゲームを好み、また犯罪にも手を染めやすい

といった因果関係が心理かもしれないからだ」

「統計学が最強の学問である」P95より引用 太字はブログ主が編集

 

と書かれています。

 

なるほど・・・

 

どうしても

「AであればB」ならば「BであればA」

「AであればB」ならば「AでなくなればBでもなくなる」

という風に考えてしまいがちですが、そうとは限らないのですね。

 

じゃあ、比較しても意味ないじゃん

と思うかもしれませんが、それも違います

 

少年犯罪者→暴力的ゲームを好む

という事が分かれば、

・暴力的ゲームを規制すれば少年犯罪が減るか?

・逆に暴力的ゲームを親が抑制しないでやらせた方が、少年犯罪が減るか?

・暴力的ゲームのプレイ時間が顕著に長い子にカウンセリングを受けてもらえば、少年犯罪が減るか?

などといった、仮説が生まれ、

それを検証することで、有効な対策が見つかるかもしれないからです。

 

まとめると

・「少年犯罪者は暴力的なゲームを好む」という結果が出ても、安易に

「暴力的なゲームのせいで少年犯罪者になる」と結論付けない。

・比較によって得られた仮説を適切に利用して、さらに検証する

 

ことが大切だと思います。

 

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

今日も病気や事故には気をつけて行きましょう!

 

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